感情コントロール、むずっ!〜ジャックナイフ白石の日常〜
怒り心頭のその日。俺はジャックナイフ。
その日は、とにかく腹が立っていた。
もう、「触れるものはすべて傷つけます。俺は、ジャックナイフだ。」くらいの勢いで。
発端はお役所での手続き。ああいうところって、基本お硬くて、手順を一つ一つ踏まなければ話が進まない。
まあ、確かに。最初に必要な書類を揃えていなかった自分が悪い。それは認めます。
でも!ですよ。言われた通り、追加の書類をバッチリ揃えて、再び訪れたんです。なのに…
「あ、あとこれも足りないですね〜」
ウゴー! また来ないとダメですか!? のわん! と叫びたかった。
もちろん、目の前の係の人に怒っても仕方がないことは分かってる。一回目と担当者も違う。でも、この怒り、どこへぶつけたらいいんだ。
ワナワナと震えていたら、ふとその係の人がこう言った。
「あの、もしかして…塾をされてる方ですよね?」
え?
怒りの形相だったはずの顔が、無意識に営業スマイルに。自分で笑ってしまった。
たまたま近所に住んでいるその方は、私のことを知っていたのだとか。
「やだ、俺ってば有名人!?」なんてちょっと調子に乗りつつも、
「怒りをぶつけずに本当によかった…」と、心の底から思った。
怒って得することなんて、ほとんどない。その人をがっかりさせていたかもしれない。
「よし、これからは怒らない! 怒るの禁止!」と自分に誓った。
…でも、やっぱり人間だもの
その夜の授業。私は満面の笑みで教室へ。
スマイルスマイル。ポジティブポジティブ。
すると、生徒の一人がぼそり。
「先生、宿題やってません…」
…なんですと。
さっきまで誓っていた「怒らない宣言」、秒で解除。
デビル降臨。
感情のコントロールって、本当に難しいですね。