読書が苦手な少年がここまで成長しました

読書の苦手な少年。それが私だった。
私以外にも苦手な人はいるだろう。当てて見せよう。
理由その1 読むたい。と強要されるのが上から目線で気に食わない。
理由その2 読む人が偉いとされている世の中が何か気に食わないというあまのじゃくから読まないと決めている
理由その3 読むのが遅い
理由その4 読むのを数日さぼるだけで登場人物が忘れており、ついでに、内容も忘れているので最初から読まないといけなくなるのがいや
理由その5 同じ行を読んでしまい、読み終わるのか不安になる。そして、活字を読むのが苦手であることに気づかされ、漫画に走る
理由その6 テレビで十分面白い
理由その7 本を読むより外でスポーツしていたほうがモテそう。と思っているから
理由その8 疲れる
ざっとこんな感じですよね。
そんな少年が、今では本好きになっている。好きになるまでにいろんな苦労がありました。そんな読書に関するお話を今日はしたいと思います。
今から10年ほど前だろうか。いい大人が読書の一つもしてないとは恥ずかしいと思ったのか、ちょー暇だったのかよく覚えていないが、「本を読もう!」と決めた青年時の思い出から。

本を買うことはお金の無駄である。だって、最後まで読まない実績と信頼が私にはある

これが当時の私の第1公式であった。だから、読もう!と決めているが買うことはない。図書館で借りることにしたことを覚えている。図書館で借りる理由にもう一つ大きなことがあった。それは司書さんがいるからだ。本を読むことに抵抗がない方にはわかるまいが、読みなれていない苦手ちゃんにとって、1冊の本を最後まで読み切ることは、かなりの覚悟がいる。かなりの覚悟だ。中途半端な覚悟だと、本は序盤で棚のディスプレイアイテムへと変わる。もう、失敗できないのだ。それくらいの最後の気持ちと覚悟があったんだと思う。そう思えば思うほど、”はずれの本を引いてはいけない”という気持ちにさいなまれ、本のスペシャリストであろう司書さんへ「苦手です。面白い本どれですか?」と30男が恥を忍んで頼ることにしたのだ。いくら司書さんでも万が一があるかもしれない。と石橋を渡ってさらに質問を加えた。「面白くて、薄くて、そして、本屋大賞に選ばれたものがいいです。」

私の第2公式は

司書さんのおすすめ+本屋大賞+薄め=てっぱん

司書さんのお勧めだけでは信頼していないということが、気を悪くさせたと思う。しかし、司書さんは嫌な顔せず、親切に笑顔で本を三冊ほど持ってきてくれた。「いや、これ、薄くないじゃん」と心で突っ込む本も一つあった。本好きにはこの厚さは厚くないのであろう。一番薄いのを選んだ。3冊借りることはない。3冊借りれば、逃げ道を作ることになる。面白くないから別のを読もう。そして、別のも面白くないからと、もう一冊に行く。そして、どれも読まないで返却になるのだ。とにかく1冊を読む。3つの中で一番薄い本を借りた。

本のタイトルは「一瞬の風になれ イチニツイテ」という青春ストーリーであった。高校の陸上部・短距離走がテーマになっており、主人公の成長と友情などを盛り込んだ作品。面白い!いや、めっちゃ面白い!ドキドキ、ワクワク、ハラハラが全部詰まっており、「司書さんありがとう!」と心から思った。読むペースは人の倍以上。ゆっくりではあったが、飽きることなく読み進めることができた。残り15ページほどだろうか。読み終われそうな達成感に喜びを感じながらふと思った。「これ、話、途中で終わるよね。」クライマックスだと予想していた大きな大会。その話は出てきているが、大会の内容に入らないのだ。残り5ページ。大会の前日にすらならない。あれ?名探偵コナンで例えるなら、まだ、毛利のおっさんにおっさんに麻酔張りすら刺さっていない。コナンがまだウ~ン、ウ~ンとうなっている。終わりは遠い。半端でこの小説が終わる…ということはないだろう。なんたって、本屋大賞+司書さん+薄め=てっぱん。なのだから。ということは…
最後のページ。大会の空気だけ匂わせて終わった。そして、  -つづく-  と最後の文あり。
うっそ~ん。先に述べた通り、私にとって、本を一冊読むということは、心に決めた大きな覚悟がいる。それは、その本が傑作であろうとなかろうと!である。「面白かったから、次も読もう!」と皆は言う。映画なら私も同意。ジブリは同じ作品を10回は見てる。本のタイトルをもう一度見た。「一瞬の風になれ イチニツイテ」どこにも上、下、全編とも後編とも書いていない。リング→ラセンのように、続編のタイトルが変わるバージョンか。なんじゃらほい。ググってみた。
[一瞬の風になれ イチニツイテ 続編]
調べてビックリ。一瞬の風になれ イツニツイテ、ヨーイ、ドン の3部構成となっている。
イツニツイテは副題ではなく、上巻という意味。ヨーイというのが中巻。ドンが下巻。
上下の2部なら迷うけど、3部なら即答できます。「私、アキラメマス!」
チーン。挫折。

そんな私も成長し、積極的に読書を楽しむようになっている。最後に中年期のお話をします。2か月に1冊とか休み休み、時間の空いた時に読むようにしているし、読みたいとも思っている。今ではちゃんと買って読むくらい成長している。昨年は、東野圭吾という人の作品に出合った。劇的におもしろく、購入するのは東野圭吾のものばかりになっていた。へんな気合が入って、彼の小説全部読破してやる!そこに、青年期の私はいない。意欲丸出し。意気込んでいた。後で知ったが、東野圭吾は大人気作家で、作品も100を超えるそうだ。昔の私だったら、100という数字であきらめていることろ。大人になった私は、ゆっくりでもいい。楽しみながら読んでいこう。と、読破の気持ちは変わらなかった。
ある日、蔦屋にて平積みになっている彼の小説が置いてあった。「待望の新作!」周りの本に比べ、置いてある量も多い。「さすが東野圭吾。今回の作品も面白いんでしょう。次に読もうかね。」横目に見ながら、今読みかけの本ももちろん東野圭吾。なかなかのファンプリだと思う。
自分のペースであったものの、読みかけていた本もやはり楽しく読み終わった。さて。と蔦屋に行き、例の新作でも買おうと店に行った。びっくりした。東野圭吾の別の新刊がもう出ている。前に横目で見かけた本は、コーナーの本棚へと移されていた。ははーん。私は新しい公式を生み出した。

俺の1冊を読むペース≒新刊の出るペース=論理的に全巻読破は無理ということですな。

チーン。またまた挫折です。


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白石泰宏プロフィール


白石泰宏(しらいしやすひろ)1980年生まれ。国立熊本電波高専電子工学科卒業後、航空自衛隊に勤務。退官後、海外に15か月の留学。家庭教師、大手・個人塾講師を計3校経てひまわり教室を開校
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