英語が超苦手な子への指導法|「canの後は動詞の原形」が定着するまでのプロセス

英語が苦手な子の「つまずき」

「can の次は動詞の原形だよ」

そう伝えて、演習問題に取り組ませる。

……また間違えている。

「いやいや、canの次は動詞の原形だぁぞ」

もう一度説明して、また解かせる。

それでも、

「そうじゃなくて、canの次は動詞の原形なんだなぁ」

まだ定着しない。

ここでようやく、私は気づく。

「あ、そもそも“動詞”って何かを分かっていないな」

「動詞を覚えさせる」の落とし穴

「じゃあ、動詞を教えよう!」

そう思うのは自然だけど、実は過去にその方法で効果が出たことがない

だから今回は、「単語を覚えさせる」というセオリーは無視。

今やっている問題ページに載っている動詞だけを、一つひとつ確認させることにした。

気づきを引き出す問いかけ

「何か気づくことある?」

「う~ん…」

「なんでもいいよ。あるかな?」

「う~ん…」

わかる。英語が苦手な子って、間違うことが怖かったり、恥ずかしかったりする。だから、なかなか言えない。

でも、“気づかせる”ことが、学力アップの鍵なんだ。

だからこちらから答えを言ってしまっては意味がない。

「多分ね、頭の中には『これかな?』ってのが浮かんでると思うんだよ。それを聞かせて」

「……前の方にある?」

待ってました、その一言。

「正解!前の方にあるね。1年生のうちは、それを覚えていれば大丈夫だよ」

でも、それだけじゃ終わらない

「なるほど、分かりました」

そう言ってくれた。でも、

ごめん、それで“分かった”とは言えないんだ。

英語が苦手な子は、一度では定着しないことが多い。

だから、チェックプリントその2を渡す。

……案の定、間違える。

でも私は言わない。

「さっきは分かってたじゃないの!」

それは講師1年目の自分が言うセリフ。今の私は違う。

アプローチを変える

「can の次は動詞。これは大丈夫だよね?」

「はい、大丈夫です」

そう。“分かっている”のに、“できない”こともある

だからこう提案する。

「動詞に波線を引こう。そして、主語にアンダーライン。これで確認しながらやってみよう!」

チェックプリント3、実施。

正答数が一気に上がる。

生徒は「ふぅ」と安堵の表情。

でも、まだ終わらせない

ここで終えてもいいかもしれない。でも——

チェックプリント4、実施。

しつこいのは承知のうえ。

時間がかかるのも、効率が悪いのも、よく分かっている。

でも、それでもやる理由がある。

やればできる。その実感を届けるために

チェックプリント4。

満点ではない。けれど、「これならOK」と判断できる正答率

生徒は笑顔になる。

ここで、私はこう声をかける。

「やればできるな」

さらに笑顔が広がる。

そして、帰り際のあいさつ——

「ありがとうございました!」

その声が、ほんの少し大きくなる。

これが理由。

「分かるって嬉しい」

「できたって楽しい」

「やればできるって信じられる」

その実感を、一緒に味わいたいから。


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白石泰宏プロフィール


白石泰宏(しらいしやすひろ)1980年生まれ。国立熊本電波高専電子工学科卒業後、航空自衛隊に勤務。退官後、海外に15か月の留学。家庭教師、大手・個人塾講師を計3校経てひまわり教室を開校
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